9月末で閉店する名店「とん文」@河内小阪で最後のロースカツを食す

名店探訪
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先日、知り合いのブログを見ていたら、司馬遼太郎も通った河内小阪のとんかつの名店、「とん文」が9月末で閉店するとのショッキングなニュースに遭遇してしまいました。

昨年の春に、東京の神田神保町の老舗とんかつ店「いもや」が閉店した事がニュースになっていましたが、とん文さんの場合も同じような事情なのかなと推察します。

まず後継者がいない、移転をした後の家賃が高くなる、老朽化した機材の買い替えをする資金の余裕が無い、しかし常連のために値上げも出来ない、というところかなと思ってしまいます。

洋食店については、外食産業の中では比較的個人店の割合が多いジャンルだと思っていましたが、大阪駅前ビルを席巻しつつある「グリルロン」グループを見ても、残念ながら資本化の波は避けられない状況になっています。

資本化になって何が問題かというと、一つは料理の個性が無くなってしまう事。特に洋食の場合、業務用のドミグラスソースを使うとお手軽にそれなりなクォリティが出せてしまうため、だいたい資本系では画一的なソースが出て来るパターンが多いです。

でも、とん文みたいな古い個人店は、業務用食材なんか無い時代に試行錯誤を重ねてソースを完成させ、便利な世の中になっても、自分の店はこの味でやって来たのだから、これで勝負するしか無いという店の矜持が感じられるのが嬉しいんですよね。

それだけに、東大阪の名店である「とん文」さんの閉店は、個人飲食店の時代が終焉を迎える象徴のような気がします・・・

と、長々と講釈を垂れてしまいましたが、ニュースを聞いてこれは閉店までに再訪せねばならぬという事で、日曜日に行って来ました。

11時半のオープン前に行けば、そこそこ待つぐらいて食べられるんじゃないかと思っていたところ、実際に着いてみると4人ぐらいの待ちしかいませんでした。

あれ、閉店2週間前の日曜日なのにこんなもの?と思っていたら、よく見てみると新しく来たお客さんが、店の前にある名簿に何か記入しているではありませんか。慌てて見てみると、どうやらウェイティングリストのようです。

自分の名前を急いで書いたところ、リストの下のほうで自分の前には15人ぐらいの待ちがある様子。でもよく見ると、上の余白に「No.2」と書いてあるではありませんか。そう、実はこのウェイティングリストは2枚目で、実際には自分の前に50人ぐらいの待ちがあったというわけです・・・完全に店の人気を甘く見ておりました。

開店時間近くになると、1枚目のウェイティングリストに記入した方が集まって来て店の前はごった返す状況に・・・

それでも店のキャパが多いので、コンビニで立ち読みをしたりして1時間ぐらい時間を潰し、結局入店出来たのは1時間半後ぐらいになってしまいました。これから休みの日に行かれる場合は、10時ぐらいにウェイティングリストに記入しないと、一巡目は難しいかもしれません。

ようやく入店を果たし、いつもは名物のヒレとんかつばかり食べているので、今回はロースカツをオーダーしてみました。

まず最初に、ご飯と味噌汁、漬物が乗ったトレイが出されます。ご飯と味噌汁は1度だけおかわりが可能。味噌汁には山椒がほんのり香っているのはずっと変わってませんな。

そしてロースとんかつ。大人の手のひらサイズで厚みもしっかり、これでご飯と味噌汁がついて890円は今どき安すぎますね! この店について前回アップしたのは8年前ですが、値段が全く変わっていないのに驚愕します。

シャバシャバながらも塩味と軽い苦味と酸味を感じる、コクのあるグレイビー風のドミグラスソースは、今ではまず他ではお目にかかれない独特のスタイルです。この味が失われてしまうのは残念で仕方ありません。

久々にいただきましたが、料理もご飯もやっぱり美味しい。こんな個性豊かな名店が消えてしまうのは本当に寂しい限りです・・・どなたか、別の店でこちら味を受け継いでくれる方はいないんでしょうかねえ・・・

とにかく50年以上にも渡り、営業を続けられて来てお疲れ様と言うしかありません。本当に長い間ご馳走様でした!

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