天満界隈では、寿司の春駒や天満酒蔵、酒の奥田などと並ぶ老舗の酒舗である「上川南店」。
マスコミにも湯豆腐で有名なお店として何十年も前から知られていたお店ですが、メニューに値段が書いてないのと、どうも貧乏な若輩者が入って似合いそうにはなかったので、ずっと憧れかつ縁遠い存在でした。
でもいい加減自分もええ年をしたオッサンになり、量をバクバク食べるよりも美味しいアテを少しずついただく方が好きになって来たので、ようやく腰を据えて通わせていただきました。
18時半までなら席の予約が可能で、そこからはだいたい満席ですが、8時を過ぎると空席が出始めるけど売り切れのアテが目立つようになるのは「スタンドアサヒ」と似てますな。
いつもはトリビーで始める私ですが、こちらに来たら「鉢巻」と呼ばれる2合徳利の熱燗をお願いするのが気分。
「炊合せ」は、小芋やかぼちゃ、たけのこなど季節の野菜に、ミディアムレアに仕上げた鴨ロースが添えられた豪華な品。見た目も味も申し分なし! 鴨ロースの代わりにトコブシが入っているのを目撃した事もあります。
マグロ、イカ、鯛の刺身盛りは、見た目は平凡だけど素材はピカイチ。ねっとりと妖艶な口当たりと濃厚な旨味が溢れます。
天ぷら盛り合わせはカラッと揚がっていて実に軽快。天つゆは甘めでスッキリした味わい。
実に立派な鯛のあら炊き。これでも小さめをお願いしたんですけどね。煮汁は辛口の薄味で、シャキッと炊かれたごぼうとの相性が抜群。
ワケギの酢味噌は、プリプリの半生に仕上げた明石ダコがたっぷり。酢味噌は辛子が効いて酒が進みます。
ふわとろに仕上げられた大きな「う巻き」には、角切りにされた肉厚のウナギがどっさり。ご飯に乗っけてかきこみたいです。
鉄火巻とうなきゅうの2種盛り。ネタが大きくて食べごたえ満点!
この時は珍しくビールを頼んで、エビフライをオーダー。エビはもちろんレアの火通し、油が新鮮でキレイなので、サクサクでとても軽い仕上がり。
人気が高く、売り切れ必須の焼き鳥。シャキッとした青ネギと、ジューシーな鶏もも肉のコントラストが完璧。
キリッとエッジがたった小芋煮付け。甘めの出汁とゆずの香りがたまりません。
何とシャーベット状に出汁を凍らせたえんどう豆。豆の甘さが究極に引き出されて絶句する美味しさ!
初夏の味覚、稚鮎の天ぷら。ほんのりとほろ苦く香ばしい、何とも儚い美味。
土産に引っ張りだこ、残っていたらラッキーな松前寿司。ごく薄く締めた肉厚のサバが絶品、一切れから頼めるのが嬉しいところ。
もし松前寿司が売り切れていても、きずしでサバだけを楽しむ事が可能ですよ~。
そしてラストは絶対に外せない、名物の湯豆腐。辛口の香り高い出汁がたっぷり、おぼろ昆布も良いアクセントになっています。ハーフサイズが頼めるのもありがたい。
おあいそを頼むと、最後に熱いお茶をサービスで出してくれ、これが胃にしみるように美味しい。
料理の値段は一切書いてませんが、だいたい500~1500円のレンジと推察。ボリュームとクォリティを考えたら決して高くありません。
刺し身担当のお母さんを始めとして、家族経営のチームワークもお見事。今では貴重になってしまった、古き良き大阪の良心を体現する大衆割烹。いつまでも残っていただきたい名店です。
詳細は「大阪・関西のB級グルメガイド 最近の更新店」
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